安房ルネッサンス・笹谷窯(杉山春信さん)訪問記
・笹谷窯は、前方に山、後方に谷の隠れ里のような素敵なところに
穴窯が2つ、陶芸教室、CAFE+展示室があります。
CAFEや陶芸体験でも、10ー20%安房マネーが使えます。
http://www7.ocn.ne.jp/~sasaya/ 電話:04−7098−0388
T−20年ほど前に、鴨川に来られたんでしたっけ?
S−24年前です。埋蔵文化財調査の仕事を鎌倉でしながら、
三芳村で陶芸の工房を作ろうとしたんですが、古民家の壁
などが崩れて断念、鴨川に移住してきました。
T−どうして陶芸を?
S−中世の焼物を見てその美しさに感銘し、作りたくなったんです。
古代に始まった「焼き締め」という方法で、時間と窯の炎の、人智を
超えた力にみせられて。
焼締陶器に欠かせない薪はもともと陶器の原料である土から芽を出し、
花を咲かせ、実をつけ、いのちを育んだ木です。
廻りまわって土への恩返しというべきか、今度は土の器にいのちを
与えるために木は燃え、自らのいのちを終えんとし、器に美しい
衣を着せるのです。こうして焼きあがった器が、笹谷窯の「木命衣」
です。
T−日常雑器ではなく、芸術品なんですね?
S−そうです,と言っておきましょう(笑)。
T−芸術家としての夢は?
S−淡々と静かに、それなりに生きていけばいい、死ぬまで。そして、
人類のミッションを伝えることかな。
T−人類のミッションって?
S−すべてのいのちを救うことです。いのちは環境に適合して生きています。
地球の破滅は避けられないから、星の寿命と言う意味です。
星とともにいのちを終えることはありません。人類はいのちの頂点として、
すべてのいのちを箱舟につんで、やがて宇宙に飛び出します。
人類は唯一、環境を変えて生き延びてきた生命体なのです。
いのちそのものが、地球を脱出する能力を身につけるためにわれわれに
まで進化したのです。
人類はすべてのいのちをいただいて生きている。すべてのいのちは
われわれを育てるために存在している。それは、すべてのいのちにとっても
自分たちが生き延びる手段でもあるのです。いのちの仕掛けは
そうなっているのです。
T−それと芸術は、どう関係するのですか?
S−芸術はひらめきであり、神の啓示です。芸術は、思考の栄養剤
かな。脳だけで考えても発明や進歩に限界がある。
芸術的ひらめきが、発明や進歩の限界を突破するのです。
T−どうしてたんぼを始めたんですか?
S−大山千枚田の棚田クラブを、立ち上げ時から手伝っていたのですが、
自分のフィールド(田んぼ)はなかったのです。地域の組の人から、田んぼ
をやらないか?と声をかけられて。8年前のことです。
今では、田んぼなしでは生きていけない。生活のリズムとしても、子育ての
情操教育の場としても、都会の人との出会いの場としても。
T−WWOOFをうけいれているんですよね?
S−労働力としては期待半分です。でも、若い人たちの考えを知れるし、
時代を見ることも出来るしね。日本人に限らず来るから。
T−ポーランドからもきましたよね?
S−息子が見るアニメを、そのポーランド人たちも知っていて驚きでした。
グローバリゼーションの結果ですかね。
アメリカのピーター(アーティスト)は、よく働いた。台湾人は日本語が
ペラペラでTVで日本の歌やドラマを知っていて驚きました。
ドラマの内容やストーリ−性に感動しているんです。
日本の文化への興味が広がっているんですね。
T−今は、半農半陶ですか?
S−ですね。5反(1500坪)ほど田んぼを。ここんところ、農の比重が
大きくなっています。6:4くらいかな。農をやって陶芸のエネルギーを
もらっていますよ。作風が自然体になったように思います。奇をてらわず。
T−日用雑器に接近していません?
S−日用雑器こそ、アートです。
誰かが言っていましたが「一生演じてきて、まさに演技をやってきたが、
演じ続けると演技でなくなってくる」、「侍の演技をしていると侍になっていく」
というんです。
アートと雑器の境目・・・よくわからないな〜。
芸術家という看板も必要ないんだけど・・・。ただ、淡々と作れるものを
作って・・・・・。雑器を作っていても本物になる。飯碗を作っていても芸術
になる。雑器を作っていても、芸術としてのいのちが宿る。そこまで行けたらいいね。
芸術を計る物差しはないが、間違いなく芸術はある。体の中に持っている。
見る方も、作る方も。
陶器を作っていて、これはすごいな、と思うときがある。
日用雑器とか芸術品とかを超えて。
T−CAFEはいつ開店されたんですか?
S−2007年です。たくさんの人が焼物に興味を持ち、多くの出会い
を持ちたいので。それと、もともと、コーヒーがすきなんでね。
まったりとした時間をね。
T−CAFEでイベントをやっているんですよね?
S−第一土曜日には、かのReinoちゃんの「タロットリーディング」。
第三土曜日は、米山みほちゃんの「つぶつぶ雑穀ランチ&カフェ」。
お二人とも安房マネーが使えますよ。
音楽ライブも不定期にやっています。コーヒーやランチ、それに陶芸体験
も安房マネーが10−20%使えます。
手びねりは、¥3500から。ろくろは、¥4000から。
T−お米作りと陶芸体験の組み合わせもあるんですよね?
S−育てたお米や野菜を盛る器作りです。「食とうつわの会」の
会員募集を常時しています。
今、米作りとか野菜作りは盛んにみなさんやっていますが、それを盛る器
のことはあまり考えていません。食と器は切り離せない。特に、日に三度
お世話になる飯椀などは、是非自分で作ってほしいと思っています。
自分で作ったお米を、自分で作った椀にもっていただく、これが完成型
ですよ。
T−ありがとうございました。